日本建築学会論文報告集
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2046 実在建物の振動減衰(構造)
内藤 多仲那須 信治竹内 盛雄窪田 吾郎
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1961 年 69.1 巻 p. 425-427

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抄録
建物の耐震性状を論ずる場合、建物の固有週期、ロッキング振動の有無および地盤係数の値等多くの因子を考慮することが必要であるが、そのダンピング性状は建物の共振時における破壊を防止する因子として特に重要なものと考えられる。この報告は過去10数年間にわたる60数種の実在する鉄骨鉄筋コンクリート造および鉄筋コンクリート造建物(ラーメン構造)についての振動性状に関する実験的研究結果のうち、特徴のあると思われる10数種類の建物について、特にそのダンピング性状を考察したものである。実験は何れも起振機を用いて建物に微小な強制力を与え、先ずその共振現象より固有振動週期を求め、各階床の水平および上下方向の変位より建物全体の撓み、捩れおよびロッキングの性状を求めた。減衰性の解析にあたつては実測の共振曲線より減衰比(damping ratio)の値を求めて考察を進めたが、その値は特殊なものを除いてはほゞ1.3前後の値となることが判明した。なお減衰比の値とその他の振動性因子との関係、例えば固有週期等の値との間には特に簡単な比例関係は見られないようであつた。
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© 1961 一般社団法人日本建築学会
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