建築學會論文集
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モルタルの曲げ破壊係數と引張強度とに就いて
狩野 春一
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1938 年 9 巻 p. 17-23

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抄録

曲げ破壊係數「F_b」と引張強度「F_t」とを比較研究する爲に行つた本實驗の主要範圍は次の3階程よりなつてゐる。 第一階程:異つた3種のセメントと2種の骨材とを用ひ、水セメント比「w/c」55乃至75%の範圍で軟度及び材齡の變化せしめたもの。但し曲げ試檢體はb×h×L=4×4×16cm梁形でスパン「l」10cm,中央一點荷重とし、引張は他の場合と同じく著者考案の試檢體を用ひた。 第二階程:前囘の結果に鑑みw/cの影響を詳しく知る爲に、その範圍を40∼80%に擴げて行つたもの。但し曲げ試檢には前囘の如くl/h=2.5以外に4.5のものに就ても行つた。 第三階程:主としてl/hの變化による曲げ破壊係數の状態を知る爲にl/hを1.5乃至10の範圍で行つたもの。但し曲げ試檢體にはl/h=4.5以下の場合の成形型は4×4cmの斷面を有する鐵製のものを、l/h=5以上のものには斷面10×10又は10×20 cmの木製型を使用した。以上の結果として 第1囘からは材料の變化、モルタル製作條件の如何を問はず(F_b)/(F_t)は2に近い値を持つこと。本實驗に於ける(F_b)/(F_t)の總平均は1.95であつたこと。就中材料の變化にかゝはらずw/c=65%軟度フロー200の4週試檢のものは何れも上記平均値に最も近い。但し仔細に觀察すればw/cの相異に關して其の小さなもの程F_b/F_tは小になる様であると述べ 第2囘に於いてw/cと強度との關係曲線を求め、w/cの強度に及ぼす影響はF_bの方がF_tに對するよりは大であること。l/hの大なる方がF_bの小なること。及びF_b/F_tはw/cの小なるもの程小であつて、本實驗のw/cの範圍ではl/h=2.5の時は1.81∼2.28l/h=4.5の時は1.45∼2.04の變化のあつたことを述べた。 第3囘に於ては同一條件のモルタルに於てはl/hの大なる程F_bが小なること、從つてF_b/F_tが小なることを圖示した。

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© 1938 一般社団法人日本建築学会
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