1938 年 9 巻 p. 51-60
鹽化カルシウムはコンクリートの冬季混和劑及び硬化促進劑として好適であるが、鐵筋コンクリートには電流を考慮する限り使用すべからずとされて居る。筆者は滿州に於ける冬季浩二の一助と又年々100萬tonに及ぶ癈棄鹽化カルシウムの利用策として、之れを鐵筋コンクリートへ混用し得る條件を求めんとした。其結果通常の儘では直流(交流なら差支へなし)を考慮する限りコンクリートの乾濕を問はず上記の希望は全然無理であるが、鐵骨の鹽用ひられる防錆塗料中、瀝青性のものを利用し、且多少電氣的に考案をなすに於て鹽〓化カルシウムの使用は敢えて無理ではないと考へた。尚此防止策の最後案に對しては實驗未了であるが、本文中は上記の外コンクリートの電氣抵抗・防錆塗膜の電氣抵抗及び防錆塗膜とコンクリートの附着強度等參考となるべき實驗を以て一應發表することとした。