建築學會論文集
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材端モーメントの補正に依る高層多張間ラーメンの實用的解法に關する考究 : 材端モーメント補正法
野村 一夫
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1938 年 9 巻 p. 71-80

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抄録

恩師鷲尾健三先生は、その論文「反復合成法に依る矩形ラーメンの實用解法に就いて」に於て、不靜定ラーメンの解法に關する考究が、現在節點の移動する場合に對して行き詰つてゐることの根本は、ラーメン解法の方程式そのものに存するが、從來のこの方面の研究を見るに、その多くがこの條件の惡い方程式をその儘使用し、最初の假定値を工夫する以外に何等根本的對策が講ぜられてゐないことを指摘され、これを改善する1つの方法として、撓角法式に對し、部材角の項を消去した。節點角の項のみを含む條件の良い方程式に轉換し、これに逐次近似法を適用し、節點の移動するラーメンに對しても應用し得る有力な實用解法として、撓角補正法を提案された。 然し乍ら、撓角補正法は吾々が直接必要とせざる節點角及び部材角を求め、これを用ひて新なる計算により初めて求むる部材の端モーメントを得ると云ふ、從來の變形法系諸解法と同一の方向を採つて居られる。 筆者は撓角補正法の數學的な取扱ひを更に深く考究することにより、節點の移動あるラーメンに對して撓角補正法と同一形の方程式を利用して、一擧に部材の端モーメントを直接求め得る1つの有力な實用解法を得た。この方法に於いては、部材の端モーメントのみならず、節點角並びに部材角の算出も簡單にせられ、且つ計算の驗算に關する工夫も充分に考究せられた。

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© 1938 一般社団法人日本建築学会
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