抄録
キュウリ葉の水ストレスを非破壊で検知するために,分光反射率,気孔コンダクタンスおよびクロロフィル蛍光パラメータの一つであるPSII Yield (ΦPSII)の計測を行い,また,萎れに伴う個体としての形状変化も加えて,これらの計測法の有効性を比較検討した.このとき,水ストレスの指標として,水ポテンシャルを用いたが,浸透ポテンシャルや圧ポテンシャル,乾物重あたりの含水量,水欠差および単位面積あたりの水分量などの指標とも比較した.その結果,水ストレスをうけた後,灌水により回復可能なキュウリ葉の水ポテンシャルは,おおよそ-1.5MPaまでであった.また,-0.3~-0.8MPaのあいだで,葉の気孔コンダクタンスや個体としての形状(葉の萎れ)が圧ポテンシャルの変化に伴って変化した.気孔コンダクタンスや萎れに比べて,ΦPSIIの水ストレスに対する影響は小さく,浸透ポテンシャルの変化が現れる-0.5MPa以下で,浸透ポテンシャルの低下に伴って変化した.一方,葉の分光反射率比については,葉がひどく枯れた状態である-7.0MPaまでの範囲では,水ポテンシャルとの相関関係があったが,回復可能な水ストレス状態である-1.2MPaまでの範囲では,ほとんど変化が認められなかった.