農業情報研究
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総説・解説
プレシジョン・アグリカルチャーのための画像センシング
大政 謙次
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2002 年 11 巻 3 号 p. 213-229

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抄録
画像センシングは,プレシジョン・アグリカルチャーのための有力なツールとして期待されている.画像センシングの技術的トレンドは,ハイパースペクトル化,3次元化,そして能動的なセンシングである.通常のマルチスペクトル画像センシングは,植物個体や器官の色や形状,成長,植物や土壌の水分状態,土壌特性などについての情報を得るのに有効である.可視から近赤外域に数百バンドの解像度を有するハイパースペクトル画像センシングは,マルチスペクトル画像の解析と比較して,より多くの植物・生態情報を提供する.熱赤外画像センシングは,植物や土壌の表面温度だけでなく,植物ストレスの早期診断に有効である.葉やキャノピーのエネルギーバランスの画像解析により,気孔反応や蒸発散などに関する情報を得ることができる.能動的な手法の一つである蛍光画像センシング,例えば,定常状態のレーザー励起蛍光(LIF)の分光解析は,蛍光物質が結合した細胞壁の変化や植物色素のブリーチングなどの情報を提供する.クロロフィルa蛍光の解析は,種々のストレスに伴う気孔や光合成の葉面の不均一な反応に関する情報を提供するだけでなく,光合成器官の発達段階の診断にも使用できる.受動的あるいは能動的な3次元形状画像センシングは,遠隔で,植物や群落の3次元構造に関する情報を提供する.ここでは,これらの画像センシングとその利用について,簡単なレビューを行った.
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© 2002 農業情報学会
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