農業情報研究
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原著論文
情報の可視化・共有化のためのサトウキビ収穫支援アプリ“しゅがなび”の開発と導入における問題点
井元 智子北本 朝展
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2013 年 22 巻 4 号 p. 236-246

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抄録

農業分野におけるITの適用は集約的作物に多く,粗放的作物にはほとんどみられない.本研究では,南西諸島における主要作物のサトウキビを対象とし,粗放的作物に対するITの活用,特にリアルタイム情報共有の効果を検討する.サトウキビは収穫後に製糖工場にて加工される.この工芸作物としての特徴に着目し,サトウキビ収穫作業を支援するための携帯端末型アプリケーション“しゅがなび”を開発した.収穫機械の作業オペレーターが“しゅがなび”を使用することで,その位置情報と作業情報がサーバーに送られ可視化される.“しゅがなび”を使用することにより,天候などによる収穫計画の遅れに対して収穫機械を適正に,かつ迅速に再配置するための支援が可能となった.次に,収穫作業に関係する農家・オペレーター・製糖工場の,収穫期間において刻々と変化する収穫状況に関する情報の共有状況を精査した.その結果,一部でのみ共有されている情報が多く,“しゅがなび”による情報の共有化が,収穫順番における三者の合意形成に活用可能であることが示唆された.最後に,関係者全員が収穫期間を通して“しゅがなび”を使用することにより,実際の導入における問題点を明らかにした.

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© 2013 農業情報学会
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