抄録
食の安全・安心の基礎となる生産履歴情報は,生産工程を通じて随時記録される必要がある.そのためのアプリケーションやサービスは,スマートフォン,タブレット等の新しいデバイスの登場に対応して,迅速なアップデートと機能の向上が求められている.また,農業従事者の高齢化,経営の大規模化,農業の6次産業化等に対応するため,ユーザビリティ及び機能の向上が求められている.これらのニーズに迅速に対応できるようにするため,生産工程管理の支援を行うクラウドサービス「apras」を開発した.aprasは,JA等の生産者団体での利用を想定している.aprasを利用することで生産工程情報を簡便に入力でき,各生産者団体において情報を共有できる.aprasのユーザは,PC,スマートフォン,手書き入力など好みの手段で入力や閲覧ができる.さらにモバイル機器に接続(内蔵)された分光センサ等からのセンサデータをaprasに格納し,生産履歴情報と統合的に利用する機能も有している.北海道内における8つのJAを対象とした実証試験(ユーザ数は約4,500人)でaprasが不具合なく稼働することを確認した.