農業情報研究
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原著論文
コスト距離法を用いた大阪府におけるアライグマ(Procyon lotor)の生息域の拡大の予測
金井 猛徳
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2015 年 24 巻 2 号 p. 46-55

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抄録

現在,日本各地で野生化したアライグマによる農作物被害が発生し,大きな問題となっている.このような背景の中,アライグマがどのような地域に生息域を拡大していくかについて明らかにすることは,重要対策地域を設定する場合など今後のアライグマ問題を検討する上で有効と考えられる.そこで本稿では,大阪府におけるアライグマの生息域の拡大について一般化線形モデルを用いて土地利用コスト値を推定し,推定した土地利用コスト値を用いたコスト距離法によりアライグマの生息域の拡大を予測した.その結果,現時点では市街地へは生息域拡大が進み難い傾向にあることが明らかとなった.また,単純距離法とコスト距離法により得られた両モデルについて赤池情報量基準(AIC)およびモデル式により推定した生息確率と現地調査結果を比較することでモデルの検証した結果,コスト距離法の方がモデルの適合性が高いことが明らかとなった(単純距離法:255.72,コスト距離法:226.05).さらに,アライグマの生息域拡大図をもとに2007年度アライグマの分布図を初期値として,将来的な生息域拡大経路について解析した結果,大阪府の2大都市である大阪市へは3経路,堺市へは1経路存在する可能性が明らかとなった.

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© 2015 農業情報学会
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