2017 年 26 巻 4 号 p. 115-125
地球温暖化が進む中,地域の農業生産を維持するため,新品種の効率的な開発が求められている.本稿では,正確かつ効率的に品種改良が行える新育種技術のうち開花促進技術により開発されたリンゴを事例に,その普及を占う上で重要な消費者の受容態度を分析した.開花促進技術における遺伝子組換え技術の利用は,品種改良の一過程に留まり,市場で流通するリンゴには外来遺伝子が含まれないため,消費者の選好も既存の遺伝子組換え作物に対するそれとは異なると考えられる.二段階二肢選択CVMによる分析から,従来のリンゴとの違いを感じない消費者ほど支払意思額は高く,さらに,温暖化への対応策としての技術の重要性を説明することで,消費者の技術に対する受容度が増すことが明らかとなった.