農業情報研究
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原著論文
家畜糞尿由来液肥の集約的かつ多牧区利用向け管理システム(OCA-Mシステム)の開発
岡 碧幸石毛 奈央内田 義崇
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2022 年 31 巻 3 号 p. 78-86

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抄録

酪農産業の大規模化と分業化に伴い,バイオガスプラントで生じる家畜糞尿由来消化液肥料の集約的な利用が進められてきた.分業化され委託業者が散布を行う場合,液肥の牧草地における利用に関する散布場所や時期,量の情報管理やその適正化が課題となっている.本論文では,これまで十分に活用されていなかった消化液散布履歴を利用した多牧区の散布管理システムを開発した.このシステムでは,オープンデータの人工衛星画像データを利用し牧草の拡張植生指標(Enhanced Vegetation Index;EVI)を調べ,既存クラウド型システムで収集・管理した消化液散布履歴データと統合し利用可能とした.このシステムで年間の牧区ごとの消化液散布量に対する牧草生育量を評価する.さらに,地区平均との比較から,消化液散布量は多いが牧草生育状況が悪い牧区,即ち必要以上に施肥されていると考えられる牧区を選定して注意牧区とし,ウェブアプリケーションのマップ上にアラート画像を表示することで即座に発見できるようにした.また,このアプリケーションでは牧区を選択することで,牧草生育と施肥の履歴のグラフを閲覧できる.本システムを通して,農業従事者,液肥の管理や散布関係者,地域の行政担当者などの間での情報共有と理解を後押しし,より効率的な地域資源の活用を目指すことが可能となる.

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© 2022 農業情報学会
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