農業情報研究
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原著論文
熱流体力学的解析に基づく茎熱収支法を用いた樹液流センサの最適設計
西前 太郎榊 和馬福岡 寛須田 敦飯田 賢一
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2025 年 34 巻 2 号 p. 68-77

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抄録

本研究では熱流体力学の観点から茎熱収支法を用いた樹液流センサの新たな設計指針を得るために数値解析を行い,また得られた知見を実験的にも評価した.茎熱収支法はヒータで加熱した茎表面の測定温度から茎の熱収支を解き,樹液流量を非破壊的に測定する手法である.数値解析の対象は植物の茎を擬したモデル管とする.数値解析では3次元定常ナビエストークス方程式および移流拡散方程式を解く.植物の樹液の流れに相当する入力流量は0.06–1.23 g/minとする.数値解析の結果,従来の茎熱収支法による算出流量はほぼすべての条件で真値に比べ,20%以上大きく算出した.熱流体解析から誤差の発生原因として,ヒータ背面以外の領域からの放熱量を考慮していないことが挙げられた.加えて,熱輸送量の計算に流体の代表温度として用いられる混合平均温度でなく,壁面温度を用いていることも原因として挙げられた.上記の補正を行った補正式を用いることで流量算出誤差は約10%まで軽減した.これらの結果から,ヒータ背面以外の領域からの放熱量を近似的に推定するための熱電対を設置することおよび壁面温度と混合平均温度の差の大きいと考えられるヒータから近い温度測定位置を避けることが流量算出誤差の軽減につながると考えられる.

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