本研究では,洋ナシ「ル レクチエ」を対象として,外観汚損の検出から等級判定までを計算機を用いて一貫して行う手法を提案する.計算機による「ル レクチエ」の等級判定で主要な課題は,側面における複数の外観汚損の種類を判定し定量化する点であり,従来の深層学習では十分な精度を達成することができなかった.提案手法では,外観汚損の検出に深層学習の一種であるMask R-CNNを用い,このモデルのバックボーンのResNet50にGCBlock(Global Context Block)を組み込むことで,大域文脈情報を考慮した特徴抽出を実現した.提案手法により,従来の深層学習と比較して大きさや形状の異なる外観汚損に対する検出精度が向上した.また,得られた外観汚損の検出結果から面積割合及び個数を算出し,これらを入力とするファジー推論により等級判定を出力する手法を構築した.実際に農家で栽培された100個の洋ナシを対象とした評価実験では,等級判定の正解率89%を達成することができ,提案手法の有効性が確認された.