抄録
本研究はマルチメディア社会と農村社会の関係に着目して,農村社会情報の活用によるインターネット教育の推進方法および課題について分析した.まず最初に,実態調査を通して農村の小中学校のインターネット教育に役立つ農村社会情報の内容を以下のように整理した.(1)農村の歴史情報,(2)農村の伝承遊びの情報,(3)農村の伝統行事の情報,(4)戦時下に果たした農村の役割に関する情報.これらの農村社会情報は農村の小中学校でインターネット教育を推進する上で有益な情報源であるとともに農村の再評価および農村振興にも役立つものであると考えられる.しかし,小中学校でインターネット教育を指導する多くの教師はパソコン操作などの悩みを抱えており,まだ十分な教育効果が現れていないのが実態である.教師が抱えている問題点を主成分分析とクラスター分析で解析し,クラスターA, BおよびCと3つのグループにパターン化し,それぞれの対応策の必要性を提起した.農村社会情報はインターネット教育を推進する上で重要な情報源であり,さらに農村社会情報の活用と教師のパソコン利用能力の両者が密接な関係にあることを明らかにした.