抄録
本研究は,筆者自身が担当した短期集中型日本語コースにおける授業内外のラポール構築行動を分析し,その実態と課題を明らかにすることを目的とする。授業録画や授業記録の分析から、教師の働きかけが学習者の安心感や積極的な発話を促す要因となっていたことが示唆された。また、授業外における評価シートを用いたコメントのやり取りなども、学習者との関係構築に有効に機能していたことが観察された。一方で,名前の呼び方や関わり方が形式的にとどまる場面も見られ,より個別性に配慮した対応の必要性が浮かび上がった。授業外でのコメントのやり取りなども,学習者との関係構築に有効に機能していた。今後は,多様な学習者の背景やコース形態に応じた柔軟かつ継続的なラポール構築の在り方が求められる。