抄録
本稿は,筆者の在籍する大学院のリカレント教育で行われた日本語教育実習を通して,筆者が行ったタスクベース授業の改善を目指したアクション・リサーチの報告である。筆者は,過去の日本語教授経験で取り組んだプロジェクト型タスクベース授業において,タスクの進め方と,文法・文型の取り扱いに問題を感じていた。その後,日本語教育現場を離れ,大学院でLearner-Centredなどの理論背景について学び,日本語教授経験を振り返り,教育実習では,タスクベース授業における筆者の課題の改善を試みた。これは,アクション・リサーチの形で,タスクベース授業における教師の役割について理解を深め,タスクの進め方や,フィードバックなど様々な問題点の改善に取り組んだ。そこで,授業という限られた時間でタスクを完了させるために,教師は様々な役割を担い,学習者をサポートする必要があることがわかった。文法・文型指導においては,筆者のビリーフが大きく影響していることに気づいた。また,タスクを進める上で,Learner-Centredの考えも影響することに気づいた。実習を通して得たこれらの気づきを基に,改善案を提示し,今後の課題とした。