日本中東学会年報
Online ISSN : 2433-1872
Print ISSN : 0913-7858
他者の視線,または気長な花屋
黒田 美代子
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1998 年 13 巻 p. 419-432

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抄録

なお編集委員会より筆者が<イスラームの経済>とした研究部門は,正確には<イスラームの社会と経済>研究班であるという訂正があった。筆者の指摘とはむしろ反対で,「いわゆるイスラーム経済の分析ではなく,(まったく無関係ではありませんが),イスラーム世界における資源や水,ODAやNGOなどが研究対象だと聞いております」との申し添えがあった。しかし<イスラームの社会と経済>のうち社会を省けば,残りはまさに<イスラームの経済>であり,特に訂正の必要があるとは思えない。ひとはそこにイスラーム的な経済研究を期待するのは当然ではないだろうか。イスラーム世界の資源,水を研究するには,どうもこのタイトルはおかしいのではないか。イスラームのODAやNGOなど奇妙なものがこのタイトルに入るのは,いかがなものであろうか。名が体を現していない事態は,現在のわれわれの研究部門にはつきもののようである。筆者の真意は,きちんとタイトル通りの研究が実践されることが望ましいという意味であり,現状のなんたるかを読者に明示する上でこの種の行き違いも有益な情報であろう。このような経過から,あえて原文の訂正はしない。

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© 1998 日本中東学会
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