日本地理学会発表要旨集
2004年度日本地理学会秋季学術大会
会議情報

地方都市における中心市街地活性化の施策とその推進
沼津市の事例
*高島 淳史
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 170

詳細
抄録

1.はじめに 近年では、人口の郊外流出やモータリゼーションの進展などを背景として、全国的に中心市街地の衰退・空洞化が深刻化している。そのため、1998年に中心市街地活性化法が制定され、自治体では中心市街地活性化基本計画が作成され、それに基づき市街地の整備改善と商業等の活性化とを両輪とするさまざまな事業が実施されている。しかし、いまだ有効な対策がなされないため、中心市街地の衰退はおさまっていない。とくに地方都市においてはその傾向が著しい。 そこで、本発表では沼津市の中心市街地活性化施策を対象とし、現在までの施策から問題点を明らかにする。また、「TMOぬまづ」と第3セクターである「ぬまづ産業振興プラザ」の活動についても検討する。2.中心市街地活性化に向けた施策 地方都市の中心市街地において市によるハード整備は、さまざまな制度を利用することで行われてきた。各自治体では国や県から補助金をもらい、核施設や駐車場整備等を中心としたハード事業が盛んに行われてきた。 1998年の中心市街地活性化法以降は、市は補助的役割とされたが、市により基本計画が策定されるため、補助金確保のためのハード事業が多く盛り込まれている。沼津市は、2000年4月に225番目として基本計画を提出し、2001年3月には商工会議所を母体とした「TMOぬまづ」を設立、また同年に第3セクターである「ぬまづ産業振興プラザ」が設立し、2004年に地域交流センターの「まちの情報館」を開設するなど積極的に活動している。3.結論 沼津市では、活性化事業がさまざまな部署によって実施され、一体的な施策が行われていない。また、活性化事業実施に向けた事前調査が行われてきたが、事後調査が行われていないため、現実的な事業の問題点が把握されていないのが現状である。一方で、「TMOぬまづ」や第3セクターの「ぬまづ産業振興プラザ」の2つが、活性化の中心として相互の競争・連携によってさまざまな戦略を計画し、実践的な対策を講じている。

  Fullsize Image
著者関連情報
© 2004 公益社団法人 日本地理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top