日本地理学会発表要旨集
2004年度日本地理学会春季学術大会
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新庄-山形盆地断層帯に関する変動地形学的研究 その2
-変位基準面のテフロクロノロジー-
*八木 浩司今泉 俊文楮原 京子佐藤 比呂志
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p. 223

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抄録

 新庄盆地は,他の東北日本内弧の内陸盆地と比較して沖積面の分布が狭く,盆地中央部に丘陵や段丘面が広く分布する.それらは鮭川断層,長者原断層(富並背斜),経壇原断層,および舟形断層(舟形背斜)による変位を受けている.新庄盆地南部から尾花沢を経て山形盆地北部に至る地域では,富並背斜等の活構造を横切る位置で,最上川沿いの段丘面の多段化が進んでいる.これらのことから,本地域の地形発達が新規の地殻変動と大きく関わっていることがわかる.
 新庄盆地,尾花沢盆地,山形盆地北部ではテフロクロノロジーから上述の構造線の活動変遷史を数万〜10万年の時間スケールで復元できる(八木・早田,1990;2002).すなわち新庄盆地の丘陵部には鬼首-池月(O-Ik:約25万年前)火砕流が丘陵を構成する砂礫層中に分布する.丘陵周縁には山屋層を切って高位段丘(HI, HII面)以下の段丘面が発達し、H I面は,北部で下山里テフラ(Sm:21-17万年前)の堆積頂面として発達あるいはSmによって覆われる.新庄盆地南部〜尾花沢周辺で袖原第二テフラ層(SD2:約13万年前:長友,2000)に覆われる。最上川沿いの中位段丘の一部(MI面)は約10万年前降下の三瓶-木次火山灰(SK)や肘折北原(Hj-Kth)に覆われる(八木・早田,2000;北村ほか,2000)。最上川流域でもっとも広く発達する低位段丘(L1)面は、段丘構成層中にATを挟在し (西城・八木,1989),約1万年前降下の肘折尾花沢テフラ(Hj-Ob)に覆われる.

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