日本地理学会発表要旨集
2004年度日本地理学会春季学術大会
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地方都市における中心市街地活性化の動向
_-_沼津市の事例_-_
*高島 淳史
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p. 95

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抄録
1.はじめに
1998年に中心市街地活性化法が制定され、自治体では中心市街地活性化基本計画が作成され、それに基づき市街地の整備改善と商業等の活性化とを両輪とするさまざまな事業が実施されている。しかし、いまだ有効な対策がなされないため、中心市街地の衰退は治まっていない。とくに地方都市においてはその傾向が著しい。
本発表では、地方都市における中心市街地活性化基本計画から、全国的な中心市街地活性化の動向を把握する。また、中心市街地活性化対策の事例として沼津市を取り上げ、補助金対象である中心市街地活性化対策事業を検討し、経営者意識との関連性から活性化への問題点を明らかにする。
2.全国の中心市街地活性化基本計画について
 2003年10月1日現在、583市区町村で中心市街地活性化基本計画(以下、基本計画とする)が提出されている。
都道府県別の基本計画提出割合を見ると、全ての都道府県において提出割合が50%に達していない。市区町村別の提出割合を見ると、山間部で未提出が多く、市部では大都市を除いてほとんどの地域で50%以上の提出割合である。
 計画面積と市区町村の人口との関係を見ると、県庁所在地や人口の多い都市において計画面積が広く、人口との相関が大きいことが分かる。
 基本計画の人口規模別計画項目の割合を見ると、どの人口規模の自治体でもハード事業が中心である。これは、基本計画の提出が実質的には補助金確保のためとなっていることが影響していると考えられる。
3.沼津市の中心市街地活性化対策
 沼津市は、2000年4月に225番目として基本計画を提出しており、計画面積は163ha とほぼ平均値といえる。2001年3月には、商工会議所を母体とした「TMOぬまづ」を設立し、本格的な対策が始まっている。2003年度における市の補助金対象である中心市街地活性化対策事業は、チャレンジショップ設置運営事業など20項目以上にのぼっている。まちづくりイベント事業や美しい街並みづくり事業など商店街や市民団体主導による事業も多く含まれ、活性化に向けた市民意識の向上も見られる。しかし、図の総会・役員会の出席率で見られるような商店街内での意識の温度差もあり、意識改革を進め、商店主らの足並みを揃えることが重要と考えられる。
4.結果
沼津市では、活性化対策の成果を上げている事例も見られるが、その多くは行政によるハード事業などを契機とし、市民主導によるソフト事業を進めることで効果を上げている。しかし、現在では多くの商店街において内部の連携の欠如および商店街が別々に活動しており、中心市街地全体の活性化という視点で活動がなされていないところに問題がある。
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© 2004 公益社団法人 日本地理学会
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