日本地理学会発表要旨集
2006年度日本地理学会秋季学術大会
セッションID: 203
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都市近郊農地の保全・活用における農地所有者と近隣住民の連携
広島県東広島市I地区の取り組みを事例として
*光武 昌作金光 由江淺野 敏久
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抄録
日本の都市近郊農地を今後誰が担っていくかは今や重要なテーマであるが、その担い手を農家のみに限らず、景観保全やコミュニティ維持のような観点に立ち、農地所有者と都市住民との連携によって、保全・活用していく可能性を考えられないだろうか。本報告では、広島県東広島市のほぼ中央に位置するI地区の取り組みを事例として取り上げ、報告者らが、この地区にて行われている里山・農地保全などの活動に直接参加する中からの観察及び、地権者や近隣住民、活動の参加者へのインタビューやアンケート調査の結果を紹介する。調査の結果、近隣住民は農地を景観や周辺環境も含めた価値あるものとして捉え、また安全な農産物生産の場としても重視していることが明らかになった。一方で農地所有者は、営農意欲が低く農業よりもむしろ農地の維持管理について関心が高いが、その農地の保全に近隣住民が関わることに対して消極的な意識を持っていることが判明した。つまり農地保全については、各関係者がそれぞれの文脈の中で意識はしているが、相互のつながりがない。今後それらをつなぐ仕組みを考え、地域全体で取り組むという意識を持つことが必要だと考えられる。
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© 2006 公益社団法人 日本地理学会
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