抄録
1,はじめに これまで南アルプス南部での周氷河地形に関する研究はいくつかの報告にとどまるのみで(たとえば、岡沢ほか,1975)気温・地温測定や斜面物質移動量の計測など、定量的なデータを用いて言及した研究は非常に少ない。 南アルプス南部に位置する赤石岳から千枚岳の稜線沿いには、周氷河性平滑斜面が分布しており、そこには明瞭な構造土も見られる。とくに悪沢岳の東側に位置する丸山は、日本の山岳地域では珍しく南北斜面の非対称を見せており、双方に周氷河性平滑斜面が分布する特異な地点である。 2005年8月に丸山北向き斜面において測量、ペンキラインおよびグラスファイバーチューブの埋設などをおこない、その際得られた若干の知見を報告する。