日本地理学会発表要旨集
2008年度日本地理学会春季学術大会
セッションID: 706
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南部アフリカのバイオームの植生構造と降水パターン
*沖津 進
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抄録


 本報告では,南部アフリカのバイオームを対称として,植物の生活型に着目して植生構造を把握したうえで,降水の季節変化との対応を検討した.合計5タイプのバイオームが出現した.植生高と植被合計との間には必ずしも明確な関係は見られなかった.草原,落葉低木疎林,サバンナは,草本,落葉木本,常緑木本の植被割合が連続的に変化した.草原でも常緑低木が26%と,比較的高い割合を示した.植生高はサバンナが4.2mと高く,草原と落葉低木疎林は2m程度であった.多肉矮低木林と多肉低木林は多肉植物と常緑木本が大部分を占めた.草本と落葉低木はほとんど現れなかった.この両者は植生高と植被合計に大きな違いがあり,多肉低木林の方がはるかに植物量が多かった.草原,落葉低木疎林,サバンナは夏雨型に出現した.しかし,夏の降水量は草本主体の草原が最も多く,木本主体のサバンナが最も少なかった.冬の降水も同様の傾向を示した.草原は常緑木本も植被割合が比較的高いので,降水量以外の要因が落葉木本の分布を制限し,草原が成立していると思われる.

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© 2008 公益社団法人 日本地理学会
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