日本地理学会発表要旨集
2008年度日本地理学会春季学術大会
セッションID: 521
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風向逆転日(海陸風日と山谷風日)の全国分布と季節変化
特に冷夏年(1993)と暑夏年(1994)を対象に
*野口 泰生
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抄録


 一日で風向が逆転する海陸風や山谷風の出現日を風向逆転日として、全国850地点のアメタ゛ス時別値テ゛ータを用いて抽出する。対象期間は冷夏・暑夏年を含む1992~94年の3年間である。
 各地点で各月の16方位別風向頻度を求め、毎日の時別風向を月最多風向、逆風向、その他の風向に3分類する。日中の10:00~15:00および夜間の1:00~3:00と22:00~24:00の昼夜各6時間の間に最低4時間の最多風向または逆風向が存在することを条件として一日の風向逆転日とした。ただし、昼夜各6時間の間に最多風向と逆風向が1時間でも混在する場合は除外した。
 風向逆転日の多い地点や少ない(出現しない)地点は3年間でほとんど変化がなかった。多出地点は、高知県須崎、小豆島内海、徳島県穴喰、三重県尾鷲などで年間100日を超える。暑夏年である1994年には最多地点では150日を超えた。寒候期には少なく、暖候期に多くなるが、特に暑夏年の8月には3年間で最多の1469日・地点となった。また移動性高気圧に覆われる春や秋にも極大が出る傾向がある。風向逆転日は穏やかな気圧傾度の晴天日に出やすく、気圧配置に強く支配された現象である。
 一日で風向が入れ替わる時間は、全国平均で、夏が8:00と18:00、冬が9:00と17:00で、昼間の卓越風は夏が冬よりも2時間多くなる。  

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