日本地理学会発表要旨集
2009年度日本地理学会秋季学術大会
セッションID: 217
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常時監視データによる国内のSPM濃度の長期および年々変動
*大久保 さゆり高橋 日出男
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抄録
 国内の常時監視データを用いて,SPM濃度の長期トレンドと年々変動について整理した.SPM濃度は,冬季,夏季,春季に濃度のピークを持ち,程度に違いはあるものの,どのピークにも減少トレンドがみられた.人為起源の粒子による寄与が高い冬季や夏季には,大都市域を中心に濃度の低下が広くみられた.冬季のSPM濃度は,移動発生源の規制が実施された大都市域だけでなく,多くの地域で濃度が減少しており,ダイオキシン類の規制など,全国で共通するSPMの減少要因も存在することを示唆した.一方で,夏季のSPM濃度は,おおむね減少傾向にあるものの,一次粒子の寄与が大きい冬季に比べると,減少の度合いは小さかった.地域差の大きい人為起源粒子の寄与が相対的に小さくなる春季には,SPM濃度は国内の多くの地域で同様の経年変動がみられることを示した.  さらに,SPM濃度には長期の変動や地域による特徴だけでなく,全国規模で共通する年ごとの濃度変動もみられることを明らかにした.冬季,夏季の高濃度年/低濃度年の気象場の解析から,全国的にSPM濃度が上昇,低下するときは,総観スケールの気象場にもその要因があることを示した.
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© 2009 公益社団法人 日本地理学会
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