抄録
バングラデシュのほぼ中央部,ジャムナ川の支流であるロハジョン川沿いに位置するタンガイル県,ドッキンチャムリア村(Dakshin Chamuria)における土地開発過程の検討を行った.
現地点での結論を以下にまとめる.ジャムナ川中流域では,1.約12~11千年前に形成された洪水氾濫堆積物(自然堤防状の微高地)を利用するかたちで,それ以降に,生産域と居住域の開発が行われた.その後も2.幾度かの洪水に見舞われながらも,盛土の主体部の維持管理はマティ・カタによって、恒常的に実施されてきた.さらに,少なくとも3.約1.3千年前までには当該地域において,生産域としての水田開発に連動する形で近隣地域に屋敷地が形成されたものと推定した.