沖縄県の多様な自然環境は,多くの開発行為の前に消滅の危機にさらされている.社会基盤の整備や,新規の産業振興を目的としたものやリゾート開発など多様である.アメリカ軍基地建設にともなう工事なども多い.前者においては経済的合理性といった観点で議論されることはほとんどなく,自然破壊行為に対して異議が唱えられることが多い.後者においては,国で取り組むべき問題であるが,基地問題そのものの是非の議論よりも自然保護が論点になることが多い.このような状況を反映して,沖縄における自然保護活動は,様々な意義を有している.その数は多く,全体の把握が容易ではないが,ここでは,財団法人自然保護助成基金各地と財団法人自然保護協会とが共同で実施しているプロナトゥーラファンド助成において,過去助成をうけている活動を概観し,そららの事例から沖縄の自然の価値がどうのように捕えられているか探りたい.