日本地理学会発表要旨集
2011年度日本地理学会秋季学術大会
セッションID: P734
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仙台平野における平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震の津波の実態
*平野 信一, 箕浦 幸治, 山田 努, 飯嶋 耕崇
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抄録
3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震は広範囲に津波被害をおよぼした。各地域の中で、内陸部に長距離の遡上が見られた仙台平野での津波の挙動について調査した。
◎津波による侵食と堆積の作用(模式断面図)
津波による海水の溯上・流下過程で発生した様々な事象の1つに、海岸での防波堤の破壊と後浜の大規模な侵食がある。
海岸に到達した津波は堤防により遡上を一時的にせき止められた。ついで、さえぎられた海水が陸側に溢れ出し堤防内側斜面(裏法斜面)を流下し、強力な射流が発生した。射流による破壊は堤体の特に裏法部と法尻部に顕著に表れ(写真1)、その破片や土砂はブロック状となり後続の流れにより陸側に移送された。さらに、この流れは後浜背後にある海岸林を破壊し、流木となった樹木は、住宅地に流れ込み家屋を破壊した。
春先の水田は裸地となっており、平野部では海水が溯上しやすい条件を備えていた。平野部の沈降に加えて、比較的平滑な溯上面が確保されていたため、浸水深が深くなった。葉理構造の発達から、流速が減衰して1 m/秒以下の流れになって以後に砂が堆積したと考えられる。溯上の先端では物質の速やかな移送が進行し、従って砂の堆積は流れの後半でみられたと考えられる。海岸部の凹地は海水で満たされており、基本的に射流は発生し難く、第2波以降では物質の移送は大きく減少した。
溯上流は、あぜ道や道路などのわずかな起伏でも流下側で射流を発生し、底面を洗掘した(写真2)。これにより剥ぎとられた泥塊が地表面上を転動し、泥球が作られた(写真3)。泥球は破片状の稲藁を含み、分解しにくく移動に耐えて形状を保存した。
◎    海水氾濫の実態
地表に残されたリップルマークは、津波第1波の後方流向をある程度反映していると考えられる(写真4)。現地における流向観測からは、第1波の方向は必ずしも海岸線に直交しておらず、様々な方向に流れたことがわかった。この理由として、住宅地や高まりによる流れの回折、あるいはあぜ道などによる津波の分流などが考えられる。軟泥層は陸側で肥厚し、最も陸側で10cmに達する場合が観察された(写真5)。極めて細粒であり、津波が治まって数日は滞水中に浮遊していたと考えられる。
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