梅雨期の降水量が特に大きい九州北西部の例として,長崎における1901年以降の日降水量データに基づき,梅雨期の降水量の長期変化について解析した。主な結果は,次の通りである。 (1) 6月の降水量について,20世紀前半は,「かなり降水の多い年はあるものの,降水の少ない年の頻度が高い」という年々のばらつきの非対称性が顕著であり,それは,日降水量50~100mm程度の『多降水日』の寄与の年々変動を反映していた。 (2) 20世紀後半には,20世紀前半に比べ,7月(特に後半)の平均降水量と年々変動は増加,9月の降水量と年々変動は減少していた。特に7月後半のそれは,年々の平均値の増加も,年々変動の増大も,『多降水日』の寄与の大きさを反映していた点が明らかになった。