日本地理学会発表要旨集
2011年度日本地理学会春季学術大会
セッションID: P1405
会議情報

新公益法人制度施行から2年、一般法人の実情を探る
*白石 喜春
著者情報
キーワード: 一般法人, 業態, 立地状況
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
1.はじめに
 一般社団法人、一般財団法人(以下、一般法人と記述)は、2008年12月の新公益法人制度の施行に伴い新たに加わった法人格である。一般法人は公益認定等委員会(八条機関)から認定を受けることで税制的に最も有利な公益法人になれる。また、_丸1_官庁の許可が要らない、_丸2_監督官庁がない、_丸3_行う事業に制限がない、_丸4_出資が不要、_丸5_登記のみによって成立、_丸6_特定非営利活動法人と同等の税制優遇(非営利型の場合)等の利点があることから、法人格を得ようとする組織から注目されている。そこで本調査では、このような一般法人の実情を明らかにするべく、新設一般法人の業態別設立状況および一般法人等の都道府県別立地状況について検討した。
2.業態および活動内容の傾向
 一般法人の新規設立件数は5,639件(2010年8月現在)であるが、今回は各法人の保有するホームページにアクセスして必要な情報を得られた1,105件について業態の傾向、設立前の状況について調べた。
 表1に示すように支援型団体及び業界団体で全体の46.4%を占め、営利的団体はわずか6.6%。一般法人の多くは非営利型であることがわかる。また、調査対象法人の設立前の状況をみると、純粋に新設した法人は705件(63.8%)で最も多く、任意団体からの新設は280件(25.3%)、特定非営利活動法人からの新設は22件(2%)であった(図1)。簡便な方法で法人格が得られるという利点が一般法人の新規設立を促していると考えられる。また、特定非営利活動法人から一般法人になった法人の多くは公益認定を目指していると考えられ、すでに公益認定を受けた法人も多数存在している。
3.一般法人の立地状況
 次に、急増中の一般法人が地域的にどのような分布形態を示しているのか調べた。一般法人は新法施行後1年9ヶ月が経った2010年8月現在新規及び移行した法人を含めて9,484法人が存在。他法人を加えた法人数を都道府県別に示すと図2のようになった。一般法人の多くは東京都に集中し、その分布形態は極めて限定的。これは、全国規模で活動を展開する法人が多く立地していることに加え、東京都と地方において一般法人に関する認知度に差が生じていることが要因であると考えられる。
著者関連情報
© 2011 公益社団法人 日本地理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top