日本地理学会発表要旨集
2011年度日本地理学会春季学術大会
セッションID: 323
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東京大都市圏におけるマンション供給構造の変容
-超高層マンションの供給と居住者に着目して-
*久保 倫子小泉 諒西山 弘泰久木元 美琴川口 太郎
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抄録

1. 研究課題 1990年代後半以降,都市中心部においてマンション供給が増加し,都市の居住地域構造が変化してきた。特に,2000年代には東京都区部を中心に超高層マンションの供給が増加し,単独世帯や夫婦のみ世帯などの小規模世帯だけでなく,夫婦と子からなる核家族世帯による都心周辺部での住宅購入が容易になった。本研究は,1990年代後半以降の東京大都市圏におけるマンション供給の進展過程を,特に超高層マンションの供給に着目して分析する。さらに,超高層マンションの供給が顕著である江東区豊洲地区におけるマンション供給の特性と購入者の比較物件の分析から,東京大都市圏におけるマンション供給構造の変容を議論にする。  江東区豊洲地区におけるアンケート調査は,2009年10月に1934世帯に配布し,306世帯から回答を得た(15.8%)。インタビュー調査は,アンケート回答者のうち32世帯に対して2010年5~6月に実施した。 2.東京大都市圏におけるマンション供給の変遷  不動産経済研究所「全国マンション市場動向」によると,東京大都市圏におけるマンション供給戸数は,1999年から2004年に増加,その後減少している。1998年までは80_m2_以上のマンションは周辺県でのみ確認されたものの,2005年以降(図)は,超高層マンションの供給が増加したことの影響を受けて東京都区部内においても確認できるようになった。同研究所「新規マンション・データ・ニュース(2010.4.7.)」によると,超高層マンションの供給は,2000年以降増加してきた。2010年3月末現在,2010年度以降に完成を予定している超高層マンションは345棟(113,782戸)であり,その約50%を東京23区内の物件が占めている。東京大都市圏における2000年代以降のマンション供給の変遷を明らかにするためには,超高層マンションの開発が著しい豊洲地区における事例を検証する意義は大きいと考える。 3.豊洲地区におけるマンション開発と購入世帯 江東区豊洲地区においては,三井不動産などが商業施設と一体化した超高層マンション群の供給を行ったが,これらには多様な価格帯や間取りの物件が含まれた。居住地選択の過程では,多くの居住者がインターネットを利用し,東京都心部および東京湾岸部において同時期に販売された超高層マンションと比較している例が多くみられた。

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