日本地理学会発表要旨集
2011年度日本地理学会春季学術大会
セッションID: 426
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米国カリフォルニア州ロサンゼルス都市圏における低出生体重リスクに関する時空間分析
*山田 育穂
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抄録
米国において低出生体重(出生体重2500g未満)は、乳児の死亡・罹病の主要な原因の一つであり、また人種・民族間に著しい格差が存在するため、公衆衛生上の深刻な問題となっている。本研究では、カリフォルニア州ロサンゼルス都市圏を対象に、低出生体重リスクの時空間分布を特に人種・民族間の差違に着目して解析する。低出生体重リスクの空間分布の時間的推移を把握するため、1985年から2004年の20年間にカリフォルニア州に提出された出生届からなるCalifornia Birth Statistical Master Files 1985-2004に、時空間スキャン統計を適用する。解析は、既知のリスク要因である母親の年齢と出産回数を統計的にコントロールし、非ヒスパニック系白人、ヒスパニック系白人、アフリカ系アメリカ人の3つの人種・民族グループ毎に行う。結果、3つのグループにそれぞれ異なった時空間パターンが検出され、特にヒスパニック系白人のパターンは他のグループと顕著に異なっている。今後は、今回検出された時空間パターンとその人種・民族間の差違を、個人や近隣住環境の特性と関連づけて解析し、低出生体重のリスク要因の理解へと発展させて行くことが肝要である。
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© 2011 公益社団法人 日本地理学会
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