抄録
1.Google Maps APIを用いたジオコーディングと地図化
2006年からGoogle Maps APIにおいて日本語でのジオコーディングサービスが提供されるようになり,世界中の地名をジオコーディングできるようになった。Google Maps APIのジオコーディング機能を利用したWebサービスは,日本語Webサイトに限定しても数え切れないほど存在する。しかし,様々なWebサイトを見ても,次のような点をすべて満たすサイトは見られず,精度の低い地点に気づかなかったり,地図化に別途GISが必要だったりと不便な点が多かった。
_丸1_複数のデータを一括してジオコーディング,_丸2_住所と施設名との二重チェックで変換精度の高い方を取得する,_丸3_ジオコーディングの結果をテキストと合わせて地図上で示す,_丸4_変換精度の低い地点をわかりやすく地図上に示し,マニュアルでドラッグして位置を調整できる,_丸5_種類ごとに複数のマーカーで地図上に表示して表示/非表示を切り替える,_丸6_KML形式での出力。
そこで本研究では,これらの要素を満たすWebサイトを開発し,構築・公開する。Google Maps APIには様々な種類があるが,ここではWebサイトで一般的に利用できるJavaScript APIを利用した。現在Google Maps APIの最新バージョンはV3であるが,ここではV2を使用して開発を行った。作成したWebサイトはhttp://ktgis.net/gcode/で公開している。
2.利用方法
Webサイトは,ジオコーディングを行ってポイントの緯度経度を取得・表示し,地図化する画面と,緯度経度から地図化する画面に分かれている
ユーザーはまずジオコーディングのページで緯度経度を取得し,精度が低い場合はGoogle Map上でマーカーを移動させたり,キーを修正してより正しい位置情報を取得する。図1はジオコーディングのページであり,テキストボックスにキーとなる住所や施設名を貼り付け,「表示」ボタンをクリックすることでジオコーディングが行われる。その際,地図上に表示されるマーカーのアイコンの種類を指定することもできる。図2はジオコーディングの結果が地図上に表示された画面である。地図上のアイコンをドラッグしたり,地図上をクリックしてマーカーを追加することができる。
取得した緯度経度情報は,テキストボックスからコピーしてユーザーのExcel等に貼り付けて保存しておく。保存した緯度経度情報を再度地図化したい場合は,「緯度経度から地図化」のページを使用する。分析機能として,表示されているマーカー間の最近隣距離を取得する機能を持っている。
本サイトは,ジオコーディングから地図化まで簡便に行うことができるので,専門的な研究だけでなく,大学生のレポート作成など地理教育にも活用できると考えている。