抄録
日本の山間地域,ことに林野率が90%を超える地域の多くが,人口流出・高齢化・林業不振に悩み続けてきたことは周知のことであろう.こうした山間地域については,なかでも林業問題への視座を外すことができない.木材に関して見ると,近年,外材依存から国産材利用へシフトする小さな動きが見られ始めた.こうした中で,①林業の合理化・近代化・活性化,②森林管理,そして,③地域生活の持続性の三つの点から山間地域の持続性を考えることがタイムリーな事項となってきている.本発表では,ドイツなどの事例をふまえつつ,鳥取県日野郡日南町を対象として,前記の林業の合理化・森林管理・地域生活維持の三点から,山間地域の持続システムを考える題材を提供する.具体的には森林管理システム,森林GIS,ソーシャル・キャピタルと土地活用等に注目する.