主催: 公益社団法人 日本地理学会
オホーツク海と親潮の基礎生産に果たすアムール川の役割を評価するプロジェクトを実施した。その結果、世界最高位を誇るオホーツク海と親潮の基礎生産量は、アムール川流域に起源を持ち、アムール川によってオホーツク海に供給される溶存鉄によって支えられている可能性が高いことを発見した。溶存鉄は、植物プランクトンの光合成における硝酸還元に利用されており、その難水溶性のために外洋では一般に枯渇している。冬期の鉛直混合によって、海洋表層の栄養塩(N, P, Si)が豊富なオホーツク海や親潮は、アムール川起源の溶存鉄によって、春季に顕著なプランクトンブルームが発生することを確認した。これは、オホーツク海や親潮にとって、アムール川流域が”魚附林(うおつきりん)”であることを意味する。