抄録
これまで十分に調査されてこなかった過去22年間に日本の首都圏の内陸域で観測された極端な高温現象発生時の環境場の気候学的特徴を,観測データを用いて統計的に調査した.その結果,首都圏の内陸域で極端な高温現象が発生するためには,同地域の日最低気温が21.4℃以上で850 hPa等圧面高度の気温が18.8℃以上となる必要があることが分かった.これらの必要条件を満たす極端な高温現象事例を,気圧配置型・首都圏の内陸域の日中の地上風の型・前日までの連続晴天日数の値の組み合わせで分類した.その結果,計27種類のパターンの中で最頻出のパターンは「鯨の尾型・南東寄りの地上風の型・4日以上の連続晴天」を兼ね備えたパターンであることが分かった.また事例数こそ少ないが「鯨の尾型・北西寄りの地上風の型・4日以上の連続晴天」パターンは,首都圏の内陸域が最も高温になりやすいパターンであることが分かった.