日本地理学会発表要旨集
2012年度日本地理学会春季学術大会
セッションID: 604
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発表要旨
郡山盆地地下に分布する郡山層および火山噴出物
*笠原 天生鈴木 毅彦今泉 俊文
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抄録
郡山盆地は,東北日本弧の前弧側に位置する内陸盆地である.盆地内には,丘陵化はしていないものの台地化した段丘が広く分布しており,その構成層(郡山層)は厚い未固結堆積物からなることが知られている(鈴木ほか 1967).今回,郡山盆地においておよそ100mのオールコアボーリングが実施され,郡山層のほぼ全層および盆地地下に挟在する火砕流堆積物が確認されたので報告する.本研究で使用したKR-11-1コアは,2011年に福島県立郡山北工業高等学校内(37°25’43.7”N, 140°22’28.6”E, 標高248.6m)において掘削された,オールコアボーリングである.コア長は100.33mで,肉眼で観察されるテフラ層が7枚と,1枚の火砕流堆積物が挟在される.周囲の地形との関係から,郡山層の最上部5m程度はコアに含まれていないと考えられる.郡山盆地における各種のボーリング資料の解析によると,郡山層の基底深度は起伏に富み(鈴木ほか 1967),丘陵状の地形が存在するらしい.これらのことから,郡山層堆積前の時期には侵食作用が卓越していたことが示唆される.芦野火砕流堆積物は,郡山盆地東方に位置する阿武隈山地北西部の小起伏面上に存在することが明らかにされており(鈴木・植木 2006),単純にKR-11-1コアの火砕流の基底と差を取ると,およそ130mの比高が導かれる.この値の一部は,火砕流が流下して以降の郡山盆地と阿武隈山地の異なる垂直変動様式を反映している可能性がある.
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© 2012 公益社団法人 日本地理学会
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