抄録
日本政府は2003年から地域経済の活性化や、日本への理解を深めることを目的に、外国人旅行者を誘致するビジット・ジャパン・キャンペーン(以下VJC)に乗り出した。周辺各国の経済成長も影響し、訪日外国人旅行者が2008年までに順調に増加し、経済危機と震災の影響を受けたにも関わらず今後も増える見通しである。また、外国人旅行者に関する統計資料は不十分ではあるが、旅行する時期、滞在期間、訪問する地域が日本人と異なるため、経済効果が期待される。外国人旅行者が旅行会社のルート設定、ガイドブックや口コミの情報、観光資源・施設の内容などの影響で一部の観光地に集中する傾向があり、このような国際色の強い観光地こそ、イノベーションの中核となりえる。そこで本研究では外国人旅行者と日本人旅行者の観光動機や観光行動の違いを明らかにし、イノベーションを起こす観光需要の多様化を確認する。