抄録
1.従来の研究と目的 日本政府の観光を今後の成長戦略の柱に位置づけ,政府主導の強力な推進により,近年訪日観光客は順調に伸びてきた.しかし,訪日外国人の都道府県訪問地率から見ると,主に東京,大阪など大都市とその周辺地域を集中的に訪れて,地方圏には訪れていないのが現状である(JNTO 2011).訪問率を覗いてみると,四国,東北,山陰,北陸などが下位を占めている. 経済産業省(2005)は,2030年には大都市圏と一部の地域を除いて,日本のほとんどの地域で経済規模の縮小が予測され,高齢化・少子化は現実的になっている.国土交通省のデータによると,定住人口が一人減ると,年間消費額がおよそ121万円減少することになる.これを交流人口で換算すると,旅行消費額の調査結果によると,外国人旅行者7人が訪れるか,22人の国内宿泊客が訪れるか,77人の国内日帰り客が訪れることによって埋め合わせることができるという(西村幸夫(編纂) 2009).つまり観光が地域活性化に大きく寄与できるといえる. 東北,四国,山陰,北陸地方などは外国人を惹きつける観光資源が乏しいかということなのだが,日本人の視点から見る魅力と外国人の視点から見る観光地の魅力はずれがある.たとえば日本人は日本の清潔さになれていて清潔を日常生活と思っていて,それに驚く人はまずいないであろう.しかし,日本の街と道路の清潔さを(サーチナ 2011)日本の魅力の一位にあげている.筆者の調査でも中国人観光客は東京より地方に行くと田舎の清潔さに大いに感心している. このように日本人と外国人の感じるところが違うように,日本人の観光本人の考える観光名所と外国人のそれとはずれがある.従ってそこに住んでいると気づきにくい郷土の魅力を再発見するには,外からの目線が必要である. しかし外国人の視点から観光資源を評価した研究が少ないのが現状である.に観光庁は2009年から「外国人一人歩き点検隊」や「外国人の目で名所チェック」など実施し,外国人の視点からの観光地の評価を行っている.また倉田など(2010)も外国人の視点から日本の魅力の解明に取り組んでいる.しかし,これらの研究などは大都市地域などに集中していて,地方などには研究されていない. そこで本研究は東北地方の秋田県を研究対象地として,韓国人観光客の視点から日本の地方の観光資源の再発見をここ見ることにした. 2.研究方法 まず韓国の大手ポータルサイトである「Naver.com」と「Daum.net」にてそれぞれキーワードを入力し,実際に「アイリス」ロケ地巡りに訪日したことがあり,旅行記を書いたブログを抽出する.つぎにテキストマイニング手法を通じて,と多変量解析手法を通じてデータを分析し,韓国語形態素分析器にかけて形態素分析を行い,計量的な手法を用いる. 3. 期待される成果 これによって地方の新たな観光資源を見いだし,地域活力に役に立つことを期待したい.