抄録
最近の環境汚染などにより石造建物の風化が促進され、脆くなった石造建物の修復には多様な樹脂や薬品が使われている。本研究ではナノライムや最新の合成樹脂を用いて岩石の強化実験を行い、効果的な適用方法を模索し石造文化財の保存修復に役立てることを目的とした。本実験に用いた合成樹脂は現在の石造文化財の修復に最もよく使われているアクリル樹脂ParaloidTM B-72(AcryloidTM B-72)とエポキシ樹脂、それから Wacker SILRES(R) BS OH100である。樹脂による強化実験は大谷石を中心に行い、ナノライム粒子による結合実験には大谷石、琉球石灰岩と安山岩が用いられた。岩石試料は引張強度、Equotipによる表面の強度測定、P波速度測定を行った。