日本地理学会発表要旨集
2013年度日本地理学会秋季学術大会
セッションID: S0409
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発表要旨
液状化分布域を規定する発達史地形学的要因
*須貝 俊彦
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抄録

2011年東北地方太平洋沖地震によって,東北地方の火山前線前縁に連なる内陸堆積盆地や太平洋沿岸,関東平野中央~北東部で震度6以上を記録した(気象庁,2011)。この地震動は,南北500㎞におよぶ広域において,地盤の液状化を発生させ,戸建て住宅やライフラインにとくに甚大な被害を与えた(若松,2011;国交省,2011など)。関東平野では,旧河道部や旧水部の埋立地(宇根,2011;小荒井,2012など)や東京湾岸の埋立地(長尾,2011など)が液状化した。鬼怒川低地帯から福島県中通りにかけての内陸盆地でも液状化災害が生じた。仙台平野や三陸沿岸では,津波や地震性沈降の影響で,液状化現象が認知しにくくなっている可能性がある。高度経済成長期以降,沖積低地では,河川改修(河道の拡幅・直線化と連続堤防の建設)によって水害が軽減され,水田や沼沢地から都市的土地利用への転換が進み,人口やインフラが集中した。沿岸部では浅海の埋立てが進み,宅地,港湾施設,コンビナートなどが建設された。こうした開発が液状化被害を拡大させる一因となった。

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