日本地理学会発表要旨集
2013年度日本地理学会秋季学術大会
セッションID: P017
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発表要旨
ヨーロッパ地球科学連合(EGU)における教員研修の取り組み
*阪上 弘彬
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抄録

はじめに
本発表は、2013年4月7日から10日までにオーストリアのウィーンで開催された地球科学に関する教員向け研修の内容を報告するものである。  
発表者が今回、参加する機会を得たのがヨーロッパ地球科学連合(EGU)内の教育委員会が主催する「教員のための地球科学情報」(GIFT)のワークショップである。EGUの年次大会にあわせて毎年開催されており、本年度はヨーロッパ諸国、アメリカを中心に18カ国から80名の教員が参加した。また日本人の参加者は発表者を含め2名であった。

教員研修の内容と特徴

GIFTでは毎年、地球科学に関するテーマを掲げ、本年度は「自然災害」(Natural Hazards)であった。近年では「水」、「進化と生物多様性」、「エネルギーと持続可能な開発」、「宇宙から見た地球」をとりあげており、今日的な関心、問題を扱っていることがわかる。地球科学に関するテーマが中心となるため、参加した教員の専門は、地学や物理、生物などの理科系教員が中心で、一部、地理担当教員も参加していた 。   GIFTの研修内容は、以下の3つの内容から構成されている。  

①自然史博物館見学とフィールドワーク  
②専門講師によるレクチャー、実験  
③授業実践発表(ポスター)

①に関しては、研修の初日と最終日に設定されており、各国の教員との交流を図るとともに、専門的な展示等を見学することが目的となっている。②は研修の中心的内容である。2013年は、英語による専門講師のプレゼンテーション(津波のメカニズムや火山噴火のリスク等)、授業で実践できる実験の体験(地震の揺れを身近なものを使って再現する実験)が行われた。③は参加した教員による発表である。ポスターの形式で行われ、テーマに関する授業実践等を発表する。また発表はEGU年次大会の一部として位置づけられているため、他のセッションと同じ会場で行われ、GIFT参加の教員だけでなく一般参加者からの質疑も受けることになる。
最後に発表が感じた研修の特徴について2点述べる。
1点目は、専門講師によるプレゼンテーション並びにレクチャーの動画を、EGUホームページ上で公開し、現場に戻っても教員が地球科学情報を活用できるような支援を行っている点である。  
2点目は、研修内容に各教員の授業実践を報告する機会が設定されている点である。研修と聞くと一方的なレクチャーを考えがちになるが、教員の発表があることで教員同士の意見交換の機会が得られ、また多くの国での実践状況・背景を知ることができる点で新鮮さがあった。

謝辞
GIFT参加にあたり、Dr. Schwarz 先生には大変お世話になりました、感謝申し上げます。 

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