日本地理学会発表要旨集
2013年度日本地理学会春季学術大会
セッションID: P071
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発表要旨
植物珪酸体含量からみたブナの生育と土壌性状との関係
*吉田 真弥加藤 早百合坂上 伸生渡邊 眞紀子
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抄録

本研究では、ブナの生育と土壌性状の関係を明らかにするために、植物葉内と土壌中の植物珪酸体含量について調べた。鳥海山の西麓斜面には冷涼多雨を反映して、矮小性のブナ-チシマザサ群落からブナ・ミズナラ混成林、ミズナラ群落に至る森林の垂直成帯分布がみられ、これらとほぼ対応するように土壌は高標高地のポドゾル性土から低標高地の淡色黒ボク土へ移行しながら発達している。本地域では多雨による溶脱作用に加えて、安山岩風化物の土壌母材に大陸由来の風成塵を含むため、土壌pH(H2O)は低く、交換性アルミニウム含量が高い(加藤,2012他)。こうした低栄養の土壌特性が樹木の栄養吸収や成長へ与える影響をみていくことにより、森林立地と土壌の相互関係を知ることは興味深い。一方、植物体における珪素の沈積は植物の健全な成長や様々な生物活動と関係することが指摘されている(Epstein, 1999)。森林土壌生態系における珪素の動態とブナの生育について引き続き検討していく。

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© 2013 公益社団法人 日本地理学会
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