抄録
鹿児島県沖永良部島の小学校では,地域学習として3・4年生を対象に和泊町教育委員会・知名町教育委員会編(2006)「わたしたちの沖永良部島」を利用している。この中では生活用水に関わることとして,湧水地やため池などに関する記述はあるものの,湧水地の位置などの記載は見られない。また小学校への聞き取り調査では,教員の多くが沖永良部島出身者ではないこと,約3年という短い任期の中では,沖永良部島にある湧水地の位置やそれらに関わる歴史については把握しきれないこと,などの問題点が明らかになった。一方,年配の島民の方々からは湧水地の歴史を語り継ぐことの重要性を聞くことが多く,これらの声が地域学習に反映されていないことも明らかになった。