日本地理学会発表要旨集
2014年度日本地理学会秋季学術大会
セッションID: P006
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発表要旨
東京における温湿指数に基づく暑熱夜の出現状況
*山添 謙
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抄録
1. 研究の目的
地球温暖化の進展に伴い気候変化が顕在化し,その人類社会への影響は様々な時間・空間スケールで及ぶことが考えられる.都市では,都市特有の気温上昇に加え,水蒸気量の増加の影響が懸念されている.とくに,ヒートアイランドに象徴される都市の温暖化は夜間に顕著に現れるが,水蒸気量の日変化も都市において特徴的で,日中よりも夜間に増大する傾向が指摘されている.そこで,気温と水蒸気量の両者の影響を反映している温湿指数を指標にし,その最低値が75以上となる場合を暑熱夜とし,その出現の特徴について東京を対象にして明らかにする.温湿指数は,「不快指数」とも呼ばれ,その値が75以上となると多くの日本人が「やや暑い」と感じると言われており,本解析ではこの値を「暑熱夜」の基準として採用した.
 2.データと研究方法
資料:東京(大手町)における時刻別(3時間毎)値
 気象要素;気温,水蒸気圧,相対湿度
 対象期間:1971~2010年,6~10月
方法:03:00JST(日最低気温出現時刻に近い)における気象要素から温湿指数と水蒸気量を算出する.  3.おもな結果
・暑熱夜の温湿指数階級別出現割合(6~10月;03:00,図1)
暑熱夜日数は,1990年代後半以降に増加している.とくに温湿指数80以上の夜が1990年代後半以降頻発している.
・暑熱夜の気温と水蒸気量との関係(6~10月;03:00,図2)
 気温が28℃以上となる暑熱夜は,130例で,7・8月を中心に年々増加している.水蒸気量が22g/m3以上となる暑熱夜は75例あり,8月を中心に出現しているが,2000年代には出現頻度が小さい.

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© 2014 公益社団法人 日本地理学会
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