日本地理学会発表要旨集
2014年度日本地理学会秋季学術大会
セッションID: S1101
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発表要旨
持続可能な郊外地域・社会の形成
no
*季 増民
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抄録

 20世紀末から、高速経済成長・巨大な開発区の設置・農村(地方)人口の大量流入により、アジア新興国の大都市郊外では、短期間に大規模に劇的な変化が発生している。これに伴い、地球環境面で負荷が、かつてなかった速度と規模で増大している。土地利用の混在と住民の混住を特徴とする都市郊外地域は単に都市研究という学術的な研究対象ではなく、まさしく世界規模の社会・地域問題の焦点となっている。
 本研究は、上海大都市圏(中国)に重点を置きつつ、ジャカルタ大都市圏(インドネシア)などを主要な調査対象とする。まずは、マルチスケールでの詳細な分析に基づいて、郊外地域を画定した。次に県レベル、特に鎮(街道)、村(社区)、集落(住宅棟)といった生活圏レベルの住民特性を解明した。その際、生活再建の過程やライフヒストリーの解明という社会学的研究手法と、その軌跡や結果が投影された住宅空間の変動(住み替え、所有・利用の変化)に着目した地理学的方法を結びつけた方法を試みた。さらに開発下にある上海とジャカルタについて比較分析を行い、その共通性と異質性を明らかにした。以上のような実態解明を踏まえ、郊外地域について、社会的・物質的な存立基盤、地域ガバナンスの可能性、持続発展可能な整備方針などの視点から検討した。

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© 2014 公益社団法人 日本地理学会
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