日本地理学会発表要旨集
2014年度日本地理学会秋季学術大会
セッションID: 316
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発表要旨
佐賀平野における極浅層反射法地震探査
*楮原 京子岡田 真介松多 信尚戸田 茂副田 宣男今泉 俊文
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抄録
1. はじめに  佐賀平野と背振山地との境界には,活断層が存在することが知られている(九州活構造研究会編,1989など). 2013年地震調査研究 推進本部の活断層の地域評価(九州)では,重力異常の特徴も踏まえ,佐賀平野北縁の活断層(佐賀平野北縁断層帯)が,小城市から吉野ヶ里町までの東西約 22kmにわたる正断層帯であると評価した.しかし,その詳細な分布や断層面の形状,活動性など,明らかにされていない点が多く残されている.筆者らは,佐賀平野北縁の活断層の性状を明らかにすることを目的に,詳細な地形判読と地質調査を実施した.本報告では,特に断層変位が疑われる地形を対象に,それらを横断する極浅層反射法地震探査を行った結果について紹介する.2.極浅層反射法地震探査の仕様極浅層反射法地震探査は,東北大学を中心とする研究グループが三本松川右岸(神埼B測線),田手川右岸(吉野ヶ里測線)において実施した.測線は,それぞれ1000 mと200 mとした.震源は掛け矢による打突とし,受振器にはランドストリーマーを用いた(神埼A測線(城原川右岸)は土木研究所によって実施された).P波探査は発振点間隔2 m,受振点間隔1mとした.S波探査は発振点間隔1 m,受振点間隔0.5 mとした. 収録はDAS-1 (OYO)を用いて記録長1secとした.この仕様により,深度100 m程度までの地下構造を高分解能で捉えることができる.これらの探査は,土木研究所の協力を得て行った.3.結果(変位地形と地下構造) 城原川から田手川にかけては広い沖積面が広がり,一部にはこれらの地形面の勾配がわずかに変化する箇所がみられる.吉野ヶ里遺跡がのる台地の西側の2カ所で行われたボーリング資料(佐賀県,1988)によると,両地点とも中地表直下に阿蘇4火砕流堆積物(厚さ5m以上)が確認され,その基底に約5m,基盤の花崗岩に60m程度の落差(南落ち)が生じている.  吉野ヶ里測線の反射法地震探査断面には,地表直下数メートル~10mに明瞭な反射面が認められた.この反射面は,阿蘇4火砕流堆積物上面とみられ,明瞭な2条の高角度(北傾斜)の断層によって,この地層以下の地層が変形していることが確かめられた.前述のボーリングデータは,南側低下の断層変位が推定されることから,この反射断面は正断層上盤の変形を表していると考えられる.すなわちこの測線における主断層(正断層)は,測線よりやや北側にあり,この主断層に随伴して逆向きの副断層(北側低下)をあわせて,凹地状の変位地形が生じたものと解釈される.しかし,主断層の位置は,神埼B測線の解析を含めて検討する.
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