抄録
1. はじめに
昨今の熱中症激増をもたらす温暖化は特にヒートアイランドを形成する都市域に顕著であるが、ことさら夏季は盆地都市において著しい。内陸の平野部でもフェーン現象を伴うと極端な高温を記録することがある。周囲が山で囲まれている盆地都市はいずれの風向時でもフェーンを伴いやすいので高温が発生する。これまでに実測してきた盆地都市の気候特性をレビューし、諸問題をまとめてみたい。その際、盆地都市や非盆地}(平野)都市を問わずアメダス観測による気温が地方気象台に比べてやや高温気味である問題点を提示してみたい。
2. 研究方法
1 諸盆地都市のヒートアイランド実態調査例の概観、福島県福島市、広島県三次市、岡山県津山市の例
2 地方気象台測定値に基づく盆地都市と非盆地都市の比較気温の年較差、真夏日日数、静穏率などの比較
3 アメダス観測圃場の現地踏査
3. 研究結果と考察
1 盆地都市のヒートアイランド実態、津山市の例―島の形はほぼ盆床の形に類似、風配図(wind-rose)から風の影響を示唆
2 盆地都市と非盆地都市の比較、気温年較差・真夏日数・静穏率は盆地都市の方が非盆地都市より大きいことが分かった。
3 千葉県牛久アメダスの例、気候の比較は地方気象台とアメダスとですべきではない。10―20m四方の芝生を敷き詰めた地方気象台の観測圃場と芝生に代えて畳み舞くらいの緑色のビニールシート上での気温測定に、大きな違いが生じる筈であるからである。