抄録
山口県防府地域で2009年に発生した表層崩壊について,GISを用いて植生や過去のはげ山荒廃との関係を解析した.2009年の崩壊は過去のはげ山の縁辺に集中していた.この原因として,ハゲ山から流出した土砂が谷頭部などの凹地に厚く堆積し,2009年の崩壊物質となったことが推定された.現地調査においても,防府地域の谷頭部には厚い砂質堆積物が見られ,中に含まれる炭片の放射性炭素年代から12世紀~15世紀頃に堆積したことが推定された.この時代には,西日本の花崗岩山地でハゲ山荒廃が進行したことが知られており,この地域では過去の山地荒廃が現在の崩壊形態に大きな影響を与えていると考えられる.