日本地理学会発表要旨集
2014年度日本地理学会春季学術大会
セッションID: P051
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発表要旨
広島原爆入市被曝者の移動経路の把握による健康影響評価の試み
*佐藤 裕哉佐藤 健一原 憲行原田 結花
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抄録
本研究の目的は,1)地理情報システム(GIS)を用いて入市被曝者の移動経路と移動距離を把握し,そして,その結果と2)広島大学原爆放射線医科学研究所(原医研)が管理する「原爆被爆者データベース」(ABS)の死因データとの照合を行うことにより,移動距離や場所(爆心地からの距離)と健康影響との関連性を見い出すことにある.本報告では主に1)について紹介し,得られた知見や作業上の問題点を示す.まずは,広島市などが1973年から1974年に行った調査結果より入市被曝者の移動経路をデータ化した.同時にGISを用いて被爆前後の広島市の空中写真から当時の道路網と通行不可地点のデータを作成した.移動経路をみると,郊外から爆心地方向を目指す傾向が明らかとなった.放射線リスクに関する情報がなかったことが一因と考えられる。また,調査票への回答精度が大きく異なり,正確な経路の把握は困難である.健康影響評価の解析には,その不確実性を考慮する必要がある.
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© 2014 公益社団法人 日本地理学会
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